音旅

文章の世界の住人。主に音楽のお話。

【Ninth Pencil】「カオスが極まる」を多角的に捉える

 

●この記事は、ナツさん(@unfinisheddaisy)主催「Ninth Pencil」の4曲目、2024年4月4日(木)の担当記事となっております。企画概要の詳細は以下の記事よりご覧ください。

また、UNISON SQUARE GARDENのバンドメンバーのお名前について、この記事では敬称略とさせて頂くことをご了承頂きたい。

01.数字で見る「カオスが極まる」

【動機】

わたしは2019年にUNISON SQUARE GARDEN(以下“ユニゾン”)が結成15周年を迎えた年に本格的に彼らにハマりここにまで至っているが、ここ数年…特に「カオスが極まる」がリリースされてからはライブのチケットが取りづらくなったのではないかと感じた(体感的な話なので実証はない)。家族とライブに行きたいと考えていた際は有難いことに重複したチケットを譲ってもらったこともあり、バンドがひとつの節目である結成15周年イヤーを迎えた以降で「カオスが極まる」が最も有名な楽曲になったのでは?と個人的には思っていたりする。そして「カオスが極まる」がユニゾンにとっても1つのターニングポイントになったのではないかと考えた。

 

【研究結果】

まずは、ミュージックビデオの再生回数について調査を行った。

 

●MV再生回数

「カオスが極まる」

MV公開日2022/10/26→執筆日2024/03/09

724万7715回÷500日

1日あたり約1万4495回再生

これだけだと再生数がどれくらい多いのかよく分からないので、同じくUNISON SQUARE GARDENのシングル+アニメ主題歌となった楽曲にて比較対象をいくつか用意した。以下も併せてご覧頂きたい。

「kaleido proud fiesta」

MV公開日2022/04/16→執筆日2024/03/09

226万6488回÷691日

1日あたり約3280回再生

「いけないfool logic」

www.youtube.com

MV公開日2023/10/03→執筆日2024/03/09

129万4690回÷158日

1日あたり約8194回再生

※こちらはシングルCDの早期購入特典として、購入者がYouTubeでの公開よりも先にミュージックビデオを閲覧可能なシリアルコードを封入していた。シリアルで観た回数は含まれないので、もし加算が出来るなら再生回数はもっとあるのではないかと考えている。

シュガーソングとビターステップ

www.youtube.com

MV公開日2020/05/14→執筆日2024/03/09

3218万5271回÷1395日

1日あたり約2万3071回再生

※この曲に関しては2019年の結成15周年イヤー記念に再公開されたものを上記リンクでサンプリングしたので、元々公開されていたもの(おそらくshort ver.)も合わせて累計で数えるとするならばかなりの再生回数になると思う。

ニゾンのことは知らなくても音楽好き&アニソン好きが誰もが一度は耳にしたことはあるだろう「シュガーソングとビターステップ」を、2022年リリースの「カオスが極まる」が超えることは流石に難しかったか…と予想通りではあった。ただ、近年のシングル曲の中でも群を抜いて再生回数が多いのは明らかだ。「カオスが極まる」、バケモンである。

 

次に、同アルバムに収録され、どちらも「アニメ主題歌」という共通項がある2曲の比較を行う。「Ninth Peel」というアルバムの枠に入ってはいるが、シングルとしてリリースしたCDの売上を「カオスが極まる」と「kaleido proud fiesta」で見ていきたい。

●シングルCD売上

「カオスが極まる」

発売日2022/10/19→集計日2024/03/09

→507日

累計2万5260枚→1日あたり約50枚の売上

「kaleido proud fiesta」

発売日2022/04/13→集計日2024/03/09

→696日

累計2万8695枚→1日あたり約41枚の売上

CDがたくさん売れる時代ではないのでこちらのデータはあまり指標にはならないかもしれないが、「Kaleido proud fiesta」よりも「カオスが極まる」の方が若干売上枚数が多いということが分かる。ついでに単曲累計ダウンロード数も調査しようと思ったのだが、ダウンロードはダウンロードで媒体が多数ある上、ストリーミング媒体も加算したかったがSpotifyApple Musicなど媒体別の数値が見つけられなかったため割愛させて頂く。

また、「カオスが極まる」のアニメーションつきのミュージックビデオに関しては2024年3月23日時点で再生回数が975万回を超えている(わたしがこの記事を執筆している2024年3月に観測した中では、1週間で10万回ほど再生数が伸びていた)。コメント欄にはユニゾンファン、アニメのファンだけでなく海外の言語も見受けられることから、この楽曲が国内外問わず注目されているのが十分にお分かり頂けると思う。

 

02.「ブルーロック」との親和性

【動機】

UNISON SQUARE GARDENはこれまで幾度となくアニメの主題歌(時にはドラマの主題歌)を手掛けてきた。この楽曲はアニメ「ブルーロック」のオープニング主題歌として作られたので、ユニゾンの作るブルーロックとはどういう形となっているのか、またユニゾンがブルーロックをどこまで掘り下げているのか、解像度を改めて感じたい。

 

【研究結果】

ここで「ブルーロック」が何たるか、アニメ公式サイトのイントロダクションを引用する。

世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない。

日本をW杯優勝に導くストライカーを育てるため、日本フットボール連合はある計画を立ち上げる。

その名も、“ブルーロック(青い監獄)”プロジェクト。

集められたのは300人の高校生。しかも、全員FW(フォワード)。299人のサッカー生命を犠牲に誕生する、日本サッカーに革命を起こすストライカーとは?

今、史上最もアツく最もイカれたサッカーアニメが開幕する。

これだけだと初見の方はさっぱり内容が見えてこない可能性があるので補足すると、ブルーロックという牢獄のような練習場にサッカーに取り組む高校生300人が集められ、それぞれが強制的にライバルとなる。「負ければ一生サッカーのW杯に出場することが叶わない」が、「勝ち進めばW杯に出場することができる」というかなりのハイリスク・ハイリターンな事柄を背負いなからも、主人公の潔世一(いさぎよいち)を始め、様々なキャラクターたちがお互いに切磋琢磨しながら成長していく…といったストーリーである。牢獄のような練習場…と記載したが、アニメ内で時々挟まれる高校生という年齢ならではの会話の楽しさや面白さ、別途スピンオフとして制作されているショートアニメもブルーロックの魅力の1つで、バチバチにサッカーでバトルしているところとはまた違う、キャラクターのかわいらしい姿を垣間見ることができる。

わたし自身も数年ぶりにどハマリしたレベルで大好きなアニメ作品であり、栗色と黄色いメッシュ髪が特徴のメインキャラクター、蜂楽廻(ばちらめぐる)のグッズを見つけると思わず購入しお持ち帰りしてしまうほどに愛情を注いでいる。

そんなアニメの1クール目(2022年10月〜12月放送分)の主題歌として起用されたのが「カオスが極まる」である。大抵のバンドならアニメに寄り添うところを、ユニゾンはアニメの内容を丸々汲み取って象徴するような詞を所狭しと並べている。その例えとして、1番のサビ部分を引用する。

楽園は近いぞ

ぶちかましてくれ 見たことがなけりゃないほどドラマチックだ

やばすぎんだろ カオス極まる 息もできないくらい

忘れないでくれ 運命論は無駄だ あがけるだけあがいたらいい

邪魔だ、すっこんでろ 着地はもうどうでもいい 君はどうだ?

 

かつてないデッドヒート

サッカーの絡んだアニメなので躍動感のある強気な歌詞に、「敗北すれば後がない」というブルーロックの特性を“デッドヒート”と表現している。そして、斎藤の声は声域としては高い部類に分類される。いわゆるハイトーンボイスと言われており、今ではそこまで珍しいボーカルの声域ではないと思うが、バンド結成当初の約20年前はおそらく時代の先駆けだったはずだ。そんな彼の歌声は、時に子守唄のように安心させてくれるような落ち着く声をしているのだが、「カオスが極まる」で聴こえる声はクールで、イメージとしては鋭利な刃物のよう。だからこそ「カオスが極まる」の歌詞がブルーロックと相まって、わたしたちに突き刺さるのだ。

 

03.この曲における「UNISON SQUARE GARDEN」の要素

UNISON SQUARE GARDENの得意技として、「アニメ主題歌としてリリースする場合は自分たちのバンドらしさや美学を楽曲の2番以降に入れ込む」というのがある。例えばアニメ「ボールルームへようこそ」にて、2曲あるうちの主題歌の1曲目として田淵が書き下ろした「10%roll,10%romance」ではこんな歌詞がある。

テイクミーアウト!

照れながら手を握ったら

僥倖なリズムをお目にかけましょう

君がどんな風に世界と踊るのか

もったいないからちょっとずつ教えて欲しいんだ

テイクミーアウト! 110%のシンパシー

リンクしたってしばらく内緒にしよう

だってこんな君を近くで見れるのは

有史以来僕だけかも ねえ

1sec でコンタクト

2sec そしてcheck my toe

3sec お手をどうぞ、right!

ありえない動揺で足元がおぼつかないなら

興奮を同じ数ぶつけて消しちゃおう

君がどんなフレームに僕を入れるのか 知りたいけど4年ぐらいは後でもいいか

焦燥でこの呼吸を汚しちゃっても

eyes to eyes もう一度やってみよう、you're sweet!

だってこんな君を近くで見れるのは 有史以来僕だけかも

ボールルームへようこそ」は社交ダンスをテーマとした作品なので、踊る動作が歌詞へ反映されているのに加え、アニメサイズでは流れない2番では作品の内容とは直接関係のない「4年後」という具体的な数字が登場する。田淵智也がユニゾンの楽曲内に幾度となく登場させ、彼がお得意とする「数字に関連する歌詞」だ。

また、同アニメ2曲目の主題歌となる「Invisible Sensation」ではこんな詞がある。

高らかに 空気空気 両手に掴んで

咲き誇れ美しい人よ

そのままペースアップして、Invisible Sensation

大胆なモーションに終始して face to face

どうしても消えないままの残酷時計は 真実を指してるから厳しくも見えるだろう

だけどいつか 誇れるくらいには

人生はよくできてる だから、生きてほしい!

わたし自身はユニゾンがタイアップをしていたとのことで「ボールルームへようこそ」を観始めたのだが、1番で作品の内容について言及し2番でバンドのことについて(またはバンドのファンに向けて)音を奏でていることが多いように思う。そのバランスがいつも心地良く、聴きながら見つけるのも楽しい。

ただ「カオスが極まる」は上記楽曲とは違い、例外となる。ここまで解説しておいて何なんだと思った方については申し訳ない。歌詞については全体的にブルーロックの要素が強いので、演奏面で解説をしていこうと思う。まずは、他のシングル曲よりも圧倒的に聴こえやすい序盤のベースに注目したい。曲が進むにつれて雷のように轟くギターが重なる。そして、激しさが主を占めるドラム。更に同期音源を加えることにより、UNISON SQUARE GARDENの「カオスが極まる」として隙のない完璧さを作り出している。

 

有難いことに、この楽曲については鈴木の単独YouTubeチャンネルにてドラム譜面の解説動画がUPされている。個人的に鈴木の叩くドラムの譜面は世界一だと思っているので、是非ご覧頂きたい。

約14分とお手軽に観ることができるこちらの動画でも、そのドラムの激しさや凄さが画面越しに伝わってくる。

鈴木の他に、UNISON SQUARE GARDENとも何度か対バンするレベルで昔からの長い付き合いがあるバンド、BIGMAMAの現ドラマーであるBucket Banquet Bis(通称“ビスたん”)もこの楽曲の譜面を少し叩いたことがあるのだが…難易度が鬼すぎた結果を是非観てみてほしい。

余談だが、この演奏部分のことをわたしは頻繁に「ビスたんゾーン」と表したりしている。わたし自身、ビスたんも好きなドラマーではあるので、この2人が同じステージでドラムを叩いているところを観てみたいものだ。

 

04.ライブでのセットリストの位置について

さて、「カオスが極まる」について様々な見解を述べてきたが、こちらの段落では「カオスが極まる」がUNISON SQUARE GARDENのセットリストにどのような影響をもたらしているのか、どのようにライブで使われているのかを例を挙げながら紹介していく。

①フェス出演時

◎2023年 FM802主催「RADIO CRYZY」

01.いけないfool logic

02.世界はファンシー

03.カオスが極まる

04.kid,I like quartet

05.Invisible Sensation

06.シュガーソングとビターステップ

※小休憩&MC

07.101回目のプロローグ

08.オリオンをなぞる

●RADIO CRYZY…通称レディクレは、年末にインテックス大阪という会場(2020年は京セラドーム大阪)で開催され、多くの音楽好きが集まっている大規模なフェスだ。ユニゾンはワンマンツアーを全国各地で開催しているが、並行してフェスに出演する機会も数多くある。そしてフェスへの出演は、ユニゾンのファンだけでなく、ユニゾンのことを気になっているライト層や、他のバンドのファンの方に目撃されることとなる。だからこそ「こんなバンドです」と自己紹介するようなセットリストにするのかと思いきや…2023年のレディクレはかなり攻撃性の高い曲順に仕上がったように思える。ちなみにこの年は有難いことにわたしも参戦したのだが、同期音のない「世界はファンシー」から、同期音のある「カオスが極まる」の見事な繋ぎに驚いたのをよく覚えている。

 

②ワンマンツアー開催時

◎2022年 「fiesta in chaos」

(中略)

10.フィクションフリースクライシス

11.Hatch I need

12.流れ星を撃ち落せ〜ドラムソロ

13.カオスが極まる

※小休憩

14.春が来てぼくら

15.シュガーソングとビターステップ

(中略)

◎2023年 「Ninth Peel Next」

(中略)

08.アンチ・トレンディ・クラブ

09.きみのもとへ

10.いけないfool logic

11.カオスが極まる

※小休憩

12.もう君に会えない

13.夏影テールライト

(中略)

●2022年のツアー「fiesta in chaos」は「カオスが極まる」がリリースされた直後の同年10月から始まったツアーということで、メインであるこの楽曲の置き場所がポイントになったのではないかと見受けられる。「フィクションフリースクライシス」「Hatch I need」「流れ星を撃ち落せ」と激しく盛り上がる楽曲を並べ、「流れ星を撃ち落せ」の中盤〜終盤では鈴木のドラムソロを挟んでいた。そうして間髪なく「カオスが極まる」に続けるというとんでもない流れが完成していた。2023年のツアー「Ninth Peel Next」は、アルバム収録曲に「カオスが極まる」も含まれるアルバムツアーであり、「Ninth Peel」を引っ提げては2周目のツアーとなる。手拍子が起こり観客が一気に盛り上がる「きみのもとへ」に続き、最新シングル「いけないfool logic」で新しくユニゾンのファンになった人でも楽しめる流れを作った後に「カオスが極まる」で畳みかけるというわけだ。

「カオスが極まる」はフェス出演でもワンマンライブでも、ライブのセットリストにおける1つのピースとして良い役目を果たしていることがお分かり頂けただろうか。

 

05.最後に

UNISON SQUARE GARDENは年々その技術や音楽がパワーアップしていて、何度彼らの楽曲を聴いても、何度ライブに足を運んでも飽きないバンドだと思うが、「カオスが極まる」はユニゾンにとって1つの武器となったに違いないとわたしは考えている。そんな本楽曲が今後、バンドにとってどのような立ち位置となっていくのか、今後とも末永く見守っていきたい。

 

2024年4月12日追記

全ての記事が出揃ったので、ここにトレイラーのリンクを添付する。

音旅的 今月の5曲-2024年1月編

2024年も書いていくことにする。

「正式リリースor先行リリースされていて、公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの」という条件が当てはまり、表題月内にリリースされたものの中で気に入った楽曲を紹介していくシリーズ記事となっております。

先月分はこちらからご覧ください。

 

 

君がいない/SixTONES

まずはこちらの動画をご覧いただきたい。

こちらは今回紹介する「君がいない」が収録されているアルバム「THE VIBES」のほぼ全曲トレイラーなのだが、唯一「君がいない」のみ1秒も楽曲が流れていない。発売までタイトル以外の情報を伏せていた、というわたしの大好きなバンドのような手法でサプライズを仕掛けていた。タイトルからしてバラードかとミスリードさせつつ…

こんなとんでもない楽曲が来ると誰が予想しただろうか。一度でいいから再生ボタンを押してみてほしい。

そしてこの楽曲は、ファーストテイクに出演する切り札として活躍している。

驚くことに、この「君がいない」を手掛けたのはこの曲で作詞曲デビューとなる方。デビュー作がSixTONESって凄すぎるし、君がいないの他でも一緒に楽曲を作って欲しい!と思ってしまうのだ。

SixTONESの所属レーベルはあの大手音楽レーベルSONYなのだが、毎回やることに予測がつかなさすぎて面白い。わたしがSixTONESにハマった理由の1つとして「音楽性の高さ」があるのだが、きっと演者だけでなく演者を輝かせてくれるレーベルのおかげというのもあるだろう。これからも是非楽しませてほしい。

 

 

Egret Castle/Lay

めちゃくちゃ端的に表すとするならば「推し」。Lay(れい)ちゃんはわたしが今最も推したいシンガーソングライターである。

美しい白さを誇る白鷺城(しらさぎじょう)という異名で知られる姫路城へのタイアップ楽曲ということで、かなりタイアップに寄せた楽曲になるのでは?と勝手に予想していたのだが全くそんなことは無く、「Layの持ち曲の1つ」「姫路城のタイアップソング」のどちらにしても通用する。弱冠15歳でこれだけの才能を持っているのは本当に凄いとしか言いようがない。透き通るほどの歌声でキラキラと歌い上げているのだが、ただただ明るい曲という訳ではなく時折英語詞も織り交ぜて進行していくのが聴きやすくて好き。「羽ばたいていこうまだ見ぬ明日へ 白鷺が羽を広げるように」という詞で一気にグッと引き寄せられる。こちらの曲はEnglish ver.も同時リリースされているので、是非聴いてRayの魅力を発見してみてほしい。

 

 

C'monova(Band Session)/Kis-My-Ft2

読みは「カモノバ」。これまでのキスマイって結構アイドルらしい楽曲を歌っていたというか、比較的ジャニーズの王道でありつつも大人なアイドル路線を突き進んでいるイメージが個人的に強かった。わたしは数年に渡って緩くキスマイのファンをしているのだが、この動画を見つけた時は上記のような凝り固まった印象を持っていたので、正直「バンドセッションってキスマイに合うのかな」と思ってしまった。半信半疑になりながら再生ボタンを押したのだが、これがまた良い!

現在は別事務所でソロアーティストとして活動する北山宏光さんが抜けたキスマイがどうしても具体的に想像できず、この楽曲と両A面としてリリースされたもうひとつの楽曲「HEARTBRAKER」は比較的しっとりとした楽曲で別れを想起してしまったのだが、C'monovaは(Band Sessionになると特に感じるのだが)、前を向いて走っていこう!とこちらまで勇気が伝染するような力強い楽曲に仕上がっていたので「6人になってもキスマイは大丈夫だ」とようやく自分を納得させることができた。

 

 

センスレス・ワンダー[ReREC]/ヒトリエ

ヒトリエ、もう何をやっても強すぎる。勿論wowakaさんが歌っているリリース当初の本楽曲も大好きだが、シノダさんの歌声で今のヒトリエを象徴しているというか…。この曲は12月に参戦したツアーのセトリに入っていたこともあり、進化し続けるヒトリエのライブを彷彿とさせる。メジャーデビュー10周年イヤーということで今年は様々なことを企画しているのだがこちらの楽曲をリリースしたのもその1種。このバンドへの愛は、たくさんの言葉を並べずともきっと伝わるだろう。今後とも好きでいたいと感じた。

 

 

iDOLING/三宅健

良すぎて困ってるから本当に助けてほしい。

漫画とアニメで人気を博している「推しの子」の流行も手伝ってか、現在様々な「アイドル像」が叫ばれていると思うのだが、わたしが知っている中で最もアイドルらしいアイドルといえば三宅健ただ1人だと考えている。健くんはおそらくアイドルになるためにこの世界に生まれてきている。最早、生まれてきてくれてありがとう…の域まである(オタクは主語をデカくしがち)。

この曲における日本語ってめちゃくちゃ美しくて、例えば序盤と終盤で微妙に言い回しが異なる部分がある。「君だけがわかっててくれたら 切ないほど愛してた」「君だけがわかってくれたから 切なくなるたび愛してる」、この部分は、ファンの心を見透かしているのかと思った。前者は「前事務所では推してくれていたけどTOBEに所属してからは担降りした(=ファンをやめた)人」へ向けて、後者は「三宅健がどこにいても応援してくれる人」へ向けた歌詞のような…わたしはそう受け取った。三宅健が歌う詞として似合いすぎていて、もっともっと深掘りしたい。

最後に、健くんからのメッセージが個人的にとても好きだったのでその一部を抜粋させて頂く。

愛すべきオタクの拡大解釈による、こちら側が張り巡らせていない勝手な伏線回収も大歓迎です(笑)。

受けて側がどう捉えるか、それぞれの解釈に委ねることで作品は大きく印象を変えます。

その余白を存分に楽しんでほしいです。

-TOBE公式LINEアカウント2024/02/01より

 

以上、2024年1月編でした。2月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。

音旅的 今月の5曲-2023年12月編

今月分も書いていくことにする。

  • 月内に正式リリースor先行リリースされた楽曲
  • MVのfull ver.が公開されていて公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの

上記のどちらかの条件が当てはまるもので、月内に気に入った楽曲を紹介していくシリーズ記事となっております。先月分(2023年11月編)はこちらからご覧ください。

 

Snowbud/MAPA

今年は初めて彼女たちのことを知り現場にも何度か足を運んだのだけど、MAPAの進化が止まらない1年だったなぁと感じている。2024年に4人体制を終える(メンバーが追加となるということなのでネガティブな意味ではない)MAPAにとって、この曲はこれまでの活動の集大成のように聴こえた。1stアルバム名に「四天王」、YouTubeは「四天王部屋」というタイトルが使われていてMAPA結成当初から「4」に対するこだわりが強く、何より彼女たちはパフォーマンス面で「4人」の強みを生かしてきたように思う。

MAPAの曲は大抵の場合、メンバーの誰かがフューチャーされているような気がしている。わたしの推しである神西笑夢(じんざい えむ)さんは「真夏の卒業式」という楽曲を歌う時が1番輝いているという風に、曲によって主人公になるメンバーが違ってきてそれを観たり聴いたりするのも楽しい。「Snowbud」は、MAPAの中でも歌に定評のある宇城茉世(うしろ まよ)さんがメインとなって音楽を紡いでいる。茉世さんはきっとMAPAじゃなかったとしてもアイドルとして活動出来ていたと思うし、歌が上手く表現力のある人だからひとりでも飛び立てるのではないかとわたしは考えている。だからこそ、MAPAにいてくれることに意味があるのだ。

「Snowbud」の茉世さんのパートに、「雪やこんこん今夜は温め合わずに過ごさせて」という一節がある。聴いた途端に、このパートは茉世さんにしか出来ないのではないかと強く思った。そして、どうか他の人に譲らないでほしいとも願ってしまった。素晴らしいMAPAの現体制ラストの楽曲が、広く届きますように。

 

 

I got it/IMP.

MVを観て、この曲を味わっておかないとわたしの今年の12月は終われない、終わらせられないと強く感じた。

12月2日に京セラドーム大阪にて開催されたSKY-HI主催の音楽イベント「D.U.N.K.」にてIMP.が初出演したのをその場で目撃したのだが、これまでリリースした「CRUISIN'」「IMP.」「SWITCHing」の3曲とは違った色気が彼らに追加されていて、観ていたわたしは思わずその場でくらくらしてしまいそうになった。サビで大きく腰を振るダンスはアイドルとしての実力が伴わないと似合わない振り付けだと思うし、IMP.の新しい部分をまた見ることができて嬉しくなった。これからもっと様々な表情やパフォーマンスを観られるのかと思うと楽しみでならない。

 

 

JOKER/Hiromitsu Kitayama

割と本気で天変地異が起きたのかと思った…今月の音楽に入れない訳が無い。

IMP.に続いて同じ事務所のアイドルを選出してしまうのだが、クレジットも楽曲も個人的にめちゃめちゃ刺さったので選出させて頂く。

「JOKER」は歌い手である北山さんが楽曲制作に携わっているのだが、共作詞としてXIIXの斎藤宏介さんの名が連なっており、作曲はXIIX(斎藤宏介さん/須藤優さん)となっている。以前から北山さんと斎藤さんが友人として仲良くしているのは知ってはいたが、ビジネスとして楽曲提供をするのにはかなり驚いた(この曲だけではなく、北山さんが前事務所にいた時点でタイアップをと他の曲も候補に上がっていたりしていたそう)。きっと友人として並々ならぬ熱い思いで楽曲提供を決めたに違いないとわたしは考えている。

歌詞の言い回しも斎藤の特徴が大変に表れていて、「淡い期待じゃ物足りない 甘い甘い夢見たくない?」とか韻踏みのオンパレードで最高。兎にも角にも何度だって聴いて、観て、墜ちていってしまいそうなのだ。今のままでは解釈が足りないのでもっと研究を重ねていきたい1曲。

 

 

ラッパと娘/福来スズ子

歌手名表記に迷ったがここはあえて役名で紹介させて頂く。役名は、福来スズ子(ふくらいすずこ)と読む。

聴くだけで心踊りだしてしまう今楽曲、ようやっと劇中歌をまとめてアルバムとしてリリースされた。純粋にドラマと楽曲たちが大好きなのでめちゃめちゃ嬉しい。様々諸事情あったのだと思うが、この曲で2023年の紅白に出場してほしかった…なんなら劇中歌4曲くらいのメドレー披露でも良かったが…?と常々思っている。

2023年10月〜2024年3月期の朝ドラ「ブギウギ」の劇中歌としてドラマ内で何度も披露されているのだが、主人公である福来スズ子を演じる趣里(しゅり)ちゃんの声が本当によく通る。彼女は元々バレエを習っていてダンスの経験はあったそうなのだが、歌の経験はほぼ無いに等しかったらしい。ただ、趣里ちゃんの母は元キャンディーズ伊藤蘭さん。そりゃあ娘である彼女にも歌の才能があると思うのが当然で。朝ドラのオーディションの年齢制限のギリギリである32才でヒロインの座を掴み取り、見事に才能を開花させているというわけだ。その中でも「ラッパと娘」は福来スズ子を代表するナンバーで、シンプルな作りの楽曲ながらも観たり聴いたりするだけで軽やかに踊り出してしまいそうな、心を照らす明るい歌だ。個人的には大正時代あたりの文化が大好きなので、タイムスリップが出来るなら大正時代でこの曲を観てみたい。

 

 

それは月曜日の9時のように(Cover)/ONIGAWARA

気を抜いたら「サティフォさんかわいい」で感想が終わってしまうのでちゃんと書く。

この曲を披露していたわけではないのだけど、2023年に参戦したライブの中でもONIGAWARAは特殊だったというか…ボーカルユニットなのにペンライトを振りながら観てもいいしその上ライブの撮影可能。物販ではメンバーさんとお喋りできるという、アイドルオタクをしているわたしからするとなかなかに恵まれた環境のライブをしていて驚いたのを覚えている。

この曲はONIGAWARAがukkaというアイドルグループに提供したものをセルフカバーしたそうなのだが、とにかく可愛らしすぎてきゅんきゅんする。

女性アイドルグループに提供した楽曲なので恋愛ソングとして甘々なのは勿論なのだが、提供楽曲だからと特段かわいくしている訳ではなくONIGAWARAの楽曲はいつもこういった雰囲気を纏っている確率が高い(「ボーイフレンドになりたいっ!」が特に可愛すぎてライブにてカメラををすぐさま回してしまったのも良い思い出)。今回のONIGAWARAセルフカバーver.だと少しダンディーな伴奏というか、2人に合うように音的に調節されているのがまた良い。

「ラブストーリーの言う通り それは月曜日の9時のように」という一節、語感が良くて思わず口ずさみたくなるから早くライブで観てみたい。

 

以上、2023年12月編でした。1月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。

 

音旅的 今月の5曲-2023年11月編

今月分も書いていくことにする。

  • 月内に正式リリースor先行リリースされた楽曲
  • MVのfull ver.が公開されていて公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの

上記のどちらかの条件が当てはまるもので、月内に気に入った楽曲を紹介していくシリーズ記事となっております。先月分(2023年10月編)はこちらからご覧ください。

乱心-RANSHIN-/Hiromitsu Kitayama

「北山さんってこんなに凄い人なの!?」というのが第一印象。余談だけど、アーティスト名義は「北山宏光」ではなく「Hiromitsu Kitayama」なのおしゃれすぎる…

わたしは約3年前から細く長くKis-My-Ft2のオタクをしているので(2024年初頭にようやくライブへ初参戦する予定)、彼が前の事務所を退所すると聞いた時は様々な意味で驚いたが、現在の事務所であるTOBEへの仲間入りを発表した際は今後の活動でどんなことをしていくのかわくわくした気持ちでいっぱいになった。移籍するという過程を経て今回めでたくソロデビューし、1st Digital Singleをリリースしたという訳だ。わたしは音源を聴き自分の身体に入れた上でMVを観てみたのだが、未だに30代後半とは思えないほど外見が若すぎる。それと同時に何度聴いても歌声の格好良さに魅了されている。グループとして活動している時は良くも悪くも個々の魅力が埋もれてしまっていたので、ここに来て彼の新たな一面を発見できてとても嬉しい。MVだけではなくインスタやX(旧Twitter)等のSNSでは可愛らしい姿を拝見してギャップ萌えすることも多々発生しているので、彼の沼は近いのかもしれない。Dance ver.もめちゃめちゃ良かったのでリンクを貼り付けておく。

 

ジャガーノート/ヒトリエ

ヒトリエの最近のシングルとアルバムリード曲、ずっとハズレがなくて最高すぎる。今回リリースされたジャガーノートら例えるならば「ロックバンドファンが好きそうな音の詰め合わせセット」。絶対にライブで聴きたいと思わせられる1曲だったので、今年の早い段階でこれから開催する12月のワンマンライブを2本も押さえておいて良かったと安心した。この曲を演奏するヒトリエがもの凄く楽しみでもあるし、照明使いがどうステージを映し出すのかもかなり予想がし難く、もはや振り回されたいとも思っている。

久しぶりの新曲を1番に聴きたくてラジオ初オンエアをかなり心待ちにしていたが、期待以上の音楽を摂取することが出来て思わず気分が高揚してしまった。シノダさんの選ぶ言葉は少し前から棘のあるものが多いなぁとは感じていたものの、今回はその棘…良い意味での暴力さが全面に押し出されていて何度も聴いてしまう。これは褒め言葉なのだが、ヒトリエの楽曲は万人受けする訳でも、凄く聴きやすい音楽という訳ではない。だが、刺さる人には刺さってしまうある種の毒のような気がしている。ロックバンドの真髄のようなヒトリエが作る音楽をこれからも変わらず追いかけたいと思う。

 

 

ドキドキする/PEOPLE1

ラジオ流れているのを初めて聴いた際、「これは誰だ!?」と慌ててShazamを起動させて見つけた曲。PEOPLE1の曲だと知った時は驚きとともに納得した。彼らのことはチェンソーマンのED主題歌にて存在と楽曲は少し知ってはいたものの、こんなにド直球にわたしが好きな曲を作っているとは知らなかった…。どうしたってゲーム音のような音が癖になって繰り返し聴いてしまうし、メロディに対する音ハメがうますぎる。今後は彼らも気にしてさらに聴いてみようと思う。PEOPLE1はこの間、わたしが年に数回行くZepp Osaka Baysideにてワンマンライブをおこなったと聞いて「もうそんなに人気なのか…」と慄いた。まずは音楽の聴き込みをしつつ何かのフェスで日程が合えば観てみたい。

 

 

星の降る日に/aiko

人並み程度にはaikoの楽曲を聴いたことがあったのだが、新曲がぶっ刺さりすぎたので記事を通して共有したい。彼女の楽曲だと「カブトムシ」とか「ストロー」はよく聴いていたし、あとマイナーだと思うんだけど「明日の歌」は好きでかなりリピートしたし今でも歌える。

aikoの曲はわたしにとって女々しかったり、あまり共感できるものがなく今まであまり聴くことがなかった(あくまで個人の感想であり、わたしの人生経験が浅すぎるからという理由もある)。彼女の作る曲はキュートな恋愛というイメージが強く、食わず嫌いをしていたのだった。ただ、今回リリースされた「星の降る日に」は話題になっていたのでノリで聴いてみると、比較的恋愛要素が少なめで聴きやすかったのだ。“星の降る日にあなたも降ってきた”って何だか御伽噺の一節みたいで初めて聴いた時に結構どきっとした。単純に表現がめちゃかわすぎる…。

 

 

ポルトロン/名誉伝説

本当にまだまだ知られていないバントなので、前回リリースされた「プロポーズ文句」に引き続き紹介していきたい。個人的に「2023年出会えて良かったバンド」としてひとつ挙げるならば名誉伝説を選びたいくらいに好き。

穏やかだけどもポロロンと音が鳴るような、まるで声をひとつの楽器として扱っているかのようなボーカルが癖になる名誉伝説。バンド全体の音がゆったり聴けるだけではなく、よくよく聴いてみると歌詞もめちゃくちゃに良い。前回リリースの「プロポーズ文句」の歌詞の出し方もなかなか好きだったのだが、今回はシンプルに歌詞として“会いに行こう 幸せに一直線 万有引力に逆らって”がめっちゃ好き。胸がきゅうっと甘酸っぱくなる緩やかな恋や愛を表すのが本当に上手い。

まだまだ名誉伝説名義の楽曲は少ないものの、わたしの好きな他のアーティストが対バンに誘ってほしいバンドの1つだ。今のところまだライブの予定はないようなので、早くライブが観てみたい。

 

以上、2023年11月編でした。12月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。

 

音旅的 今月の5曲-2023年10月編

今月分も書いていくことにする。

  • 月内に正式リリースor先行リリースされた楽曲
  • MVのfull ver.が公開されていて公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの

上記のどちらかの条件が当てはまるもので、月内に気に入った楽曲を紹介していくシリーズ記事となっております。先月分(2023年9月編)はこちらからご覧ください。

 

DEAR MY LOVER/Hey!Say!JUMP

「人生まさかの連続!」ということで…(※こちらの言葉はSixTONESジェシーさんのブログから抜粋)。

好きなアイドルにこれだけたくさんの手持ちがあっても、まだまだ新しくアイドルの沼にハマることができるんだなぁとちょっと自分に自信が付いた。わたしは幼少期から音楽番組大好きテレビっ子なので、これまで同事務所所属の様々なアイドルさんを観たり聴いたりしてきているのだけど、ここに来てJUMPさんにハマるとは思わず…わたし自身が1番驚いている。おそらく誰とも被らないであろうロマンティックで劇的な沼落ち方だったので今度別の記事として1本書きたい(願望)。

とにかくこの曲が好きすぎて10月はめちゃくちゃ聴いてた。自担の髙木雄也さんが知人の結婚式に参加した際に、初めて式で使われているのを生で聴いて感動したそうなのでわたしも絶対に結婚式で流したいという強い意志を持っている(なお相手はいない)。

JUMPさんはこの曲を含めた最新EPがサブスク解禁されたので、わざわざCDを購入せずとも気軽に聴くことが出来る環境になったのも大きい(今度アルバムがリリースされるのでそちらは早速購入する予定)。

 

 

ナイモノネダリ/Da-iCE

Da-iCE、いつも良い曲を持ってきてくれるから音楽番組で披露するときのパフォーマンスが楽しみで仕方ない。楽曲が良いのは勿論のこと、わたしとしてはMVよりDance Practice(通称ダンプラ)の方が気に入っているので、こちらの動画を挙げさせて頂いた。わたしはDa-iCEのファンをしているだけでダンス&ボーカルユニットに詳しくはないのだけど、純粋にめちゃくちゃかっこいいなと思った。静と動の区別がはっきりしている動きに「本当にこれ踊りながら歌えるんか?」という、ツインボーカルを務める花村さんと大野さんに関してはめちゃくちゃ難易度が高そうな楽曲に仕上がっているのだが、それを難なく越えていくのがDa-iCEというグループなのだ。こんな、良すぎる新曲なんて生で観たいに決まっている。早く現場入りたいが…?今年はDa-iCEのフェス出演しか見届けられていないので(ツアーはあったもののわたしのスケジュール的にライブがダブルブッキングしたので諦めた)、本当にワンマンライブが待ち遠しい。来年のアニバーサリー記念の武道館公演はちょっと遠くて行けないので全国ツアー待ちだ。

 

 

キリエ・憐れみの讃歌/Kyrie(アイナ・ジ・エンド)

BiSH時代を含めアイナさんのことはほとんど存じ上げなかったのだけど、SixTONES松村北斗さんが出演している「キリエのうた」という映画を観に行ったことによって彼女の魅力に気づくこととなった。

劇中では彼女が何曲もの楽曲を場面ごとに披露するのだが、歌声だけで鳥肌が止まらなかった。彼女の声は彼女にしか似合わないというか、本当に唯一無二なのだ。めっちゃかわいい!とか、かっこいい!とか、属性を一言で言い表し難い音。あんな華奢な身体から鳴っているとは思えない程のパワーを持ち合わせている。早く生で観てみたいアーティストのひとりだ。

 

 

虎視眈々と/BIGMAMA

既にライブで3回ほど聴いていたので曲の全貌は把握していたが、音源としてリリースされると気持ち的な面でとても嬉しくなった。この楽曲が収録されているアルバムとともにやっと色んな人に聴いてもらえる!

BIGMAMAが先日久しぶりにリリースしたアルバム「Tokyo Emotional Gakuen」、全体的に良すぎた。このアルバムでは「学校」をテーマとして、一部を除きそれぞれの楽曲の頭には時間割のように教科の名前が付けられている。

今年はアルバムをリリースしただけではなく、手越祐也さんがMCをしている番組に出演したり、東京を飛び出して大阪でもフリーライブを開催したり、万博公園でのフェスに出演したりと積極的に動いているBIGMAMAZeppツアーに出来るだけ多くのお客さんを呼ぶための施策ではあるのだが、純粋にめちゃくちゃ良い音を鳴らすバンドだからもっと知られてほしい。

 

 

マリッジブルー/なきごと

毎回リリースする音楽が安定しているなきごとちゃんより。楽曲の出力センス(?)が安定してるバンドってわたしが好きな人たちにはあんまりいない気がするから助かる。

更にこちらはライブ化けしてくれる1曲となっていて、ワンマンで観た時にこの曲のことがもっと好きになった。ある種の吊り橋効果みたいな。楽曲中に猫の鳴き声が入っていたり、歌詞に「パパとママ」というワードが使われていたりと可愛らしい1曲となっている。3曲入りのEPの中で1番聴いている。またライブで観ることができたら嬉しく思う。

 

以上、2023年10月編でした。11月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。

 

音旅的 今月の5曲-2023年9月編

今月分も書いていくことにする。

  • 月内に正式リリースor先行リリースされた楽曲
  • MVのfull ver.が公開されていて公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの

上記のどちらかの条件が当てはまるもので、月内に気に入った楽曲を紹介していくシリーズ記事となっております。先月分(2023年8月編)はこちらからご覧ください。

 

9月は個人的に豊作過ぎて選ぶのが大変だったのだが、その中から厳選して5曲をチョイスした。選曲と文章に迷っていたら大遅刻である。

いちご完全犯罪/METAMUSE MAPA

ライブで初めて観た時に良すぎて鳥肌が立った。大森靖子さん率いるTOKYO PINK所属のアーティストは大抵の場合、CDリリースよりも先にライブでの披露があるので「ライブに来た人だけの特典です!」感があって良い。この曲はわたしの推しである巫まろ(かんなぎまろ)さんがピックアップされていて、初めて観た時には度肝を抜かれた。推しのことかわいいなぁ好きだなぁと思ってたけれど、ハロプロ出身アイドルだからとんでもない表現力を持っているのなんて当たり前のことだった…。

この曲のセリフパートを巫まろさんに任せようと決めた大森靖子さんはやはり歌手だけではなく、プロデュースの才能にも長けている。また、11月には新メンバーが増えてしまうことからMETAMUSE・MAPAの2グループとも現体制での楽曲はこれがラストとなるはずだ。この魅力を見逃さないうちに、味わい尽くしてほしい。

 

 

夏の恋人(ACOUSTIC ver)/SHISHAMO

SHISHAMO、たまに聴いては「かわいい~~~!」と思うことをルーティンにしているのだが、今回わたしの好きな曲(今年参加したフェスでも観た)がアコースティックver.になってリリースされたとSpotifyからの通知が来て早速聴いてみた。

原曲よりも切なさが増したな…という印象を受けた。アコースティックだと原曲よりも“恋人”が儚く、本当に消えちゃいそうな気がしてならない。SHISHAMOのワンマンはいつか行きたいと思っているので、この機会にじっくり聴いてみようと思った1曲となった。

 

 

IMP./IMP.

良すぎ。8月に全世界デビューしたばかりの言わば新人なのに、ここまでのクオリティーで曲を乗りこなせるのは、彼らの下積みがしっかりしていたからこそだと思う。

楽曲としては、アニメの主題歌のような疾走感に溢れていてタイトルに彼らの名が付くに相応しいものに仕上がっている。これ引っ提げて全国ツアーしてほしい(とても気が早い)。

IMP.さん、考えてみれば2か月連続リリースとか凄すぎる。YouTubeも週2で更新しているしMVもダンプラも出しているし、最早どんなスケジュールしてる?と疑いたくなる程の忙しさ。あと今度SKY-HIさん主催(のはず)のフェスに出演するそうで、益々彼らの人気に拍車がかかりそうだ。

 

 

Ready To Dance/三宅健

わたしは三宅健くん大好きオタクなので、今年の9月リリースから選ぶならどうしても外せない1曲。健くんが以前から好きと公言していた(確かインスタの質問箱か何かで答えていたような気がする)、SIRUPさんに楽曲提供頂けて良かったね〜!!と思ったのが1番。推しさんに良いことがあるとオタクはすぐママになってしまう。わたしから見ると健くんはかなり年上の推しだが…。

V6の時の健くんといえば「かっこいい」というよりも「かわいい」というイメージが強く、その理由としてはV6の中でもComing Century(読み:カミングセンチュリー。通称カミセン)という年下組のグループに居たからだと思う。カミセン内で森田剛さん、岡田准一さんとともに活動していた彼はグループ内でもキュートタイプ(?)に属していたように見えていた。ただ、有難いことに去年から健くんを生で観ることが舞台・ライブともに何度かあり、その際にかわいいだけではない彼の魅力に気づいた。「わたしがこの2年間ほどで見つけた健くんの’かっこいい部分」がこの楽曲に詰まっていると感じている。やり過ぎない色気があって、ふわふわと彼にしか出せない雰囲気。今回はTOBEに所属してから初の楽曲なので、今後どんな楽曲を歌ってくれるのかとても楽しみである。

 

 

 

プロポーズ文句/名誉伝説

最高のプロポーズソングだった。名誉伝説、やはり天才的では…

物語が進むように作られているので、これは是非ともネタバレなしで聴いて頂きたい。わたしは定番の「僕を恋人と呼ばないで」がだいぶ好き。

わたしのTwitterのフォロワーは誰一人として彼らのことを見つけていない(名誉伝説のTwitterをフォローしている人がいなかった)ので1番に見つけられて嬉しい反面、まだまだ知られてなくて寂しい!リリースは少ないものの良い音楽を鳴らしているので今後とも注目していきたい。

 

 

いけないfool logic/UNISON SQUARE GARDEN

こちらは別記事で書いたので割愛させて頂くが、9月内にリリースされた曲の中で最もリピートしている。発売日前日のフラゲ日に手に入れた時には1日で10回聴いた。ジェットコースターのような楽曲になっていて、MVも今までのユニゾンとは打って変わってかなり可愛い。お気に入りの1曲となった。

 

 

以上、2023年9月編でした。10月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。

 

UNISON SQUARE GARDEN「いけないfool logic」ディスクレビュー

 ディスクレビューと銘打って文章を書くのはいつぶりだろうか。重かった筆を取るきっかけとなる音楽を奏でてくれたのは、UNISON SQUARE GARDENだった。

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(わたしの大好きなパイロットベアちゃんとパシャリ)

今回の記事はUNISON SQUARE GARDENがリリースしたシングルより、表題曲の「いけないfool logic」とB面曲の「あまりに写実的な」についてレビューを行う。完全中身バレ・歌詞バレ等が有る為、お読みの際はご注意を。

いけないfool logic

 世界中を見渡して数えるとすると何億曲と音楽が溢れているはずなのに、UNISON SQUARE GARDENはまた新しい音楽を持ってきた。ユニゾン以外にも多くのアーティストや声優に楽曲提供を手掛ける田淵智也の手に掛かれば、どんな音楽だって魔法のように聞こえてしまう。彼の魔法が最も発揮されるのはUNISON SQUARE GARDENというバンドを舞台としている時だとわたしは考える。勿論、この「いけないfool logic」もアニメ主題歌として申し分ない程の高い完成度なのだが、それと同時にUNISON SQUARE GARDENらしさも爆発している。いつもに増して田淵節が炸裂しているように聴こえたのだが、わたしが考えるに彼はおそらく斎藤宏介さんの別バンドの楽曲もよく聴いているんだと思う。聴いた上で「まだまだ斎藤宏介はこんなことが出来るんだ」ということを新しく発見して「いけないfool logic」に入れ込んできたのではないだろうか。例えばこちらの歌詞。

純粋でも 順調でも

順風でも なんだかんだ

全てがつまびらかとかありえないぜ

過去のUNISON SQUARE GARDENの歌詞でここまで韻を踏むことを意識したものがあったかと言えば、わたしが聴いている限りではあまりなかったかもと感じた。

また、2020年に斎藤宏介さんがゲストで出演していたラジオにてわたしの送ったメールが採用されたことがあり、今回の記事に参考になりそうな内容だったので引用させて頂く。

「(コロナ禍の)ステイホーム期間に始めたことはありますか?」と質問したところ、こんな答えが返ってきた(※この時の音源等はいま所持していないので発言はニュアンス程度)。

ラッパーとしての活動を始めました。出来たラップをBIGMAMAの金井政人に送りつけたりしてます(笑)

-2020/05/20 FM802「UPBEAT!」より

この時より遥かに、音として韻を踏むことが上手くなった斎藤宏介さんのラップを上手く音楽として組み込んだ田淵智也さんはやはり天才だと思うし、誰よりも“ギター&ボーカル”を務める斎藤さんのことを長く見ているだけあるな、と感じた。

 

 「いけないfool logic」は、これまでのユニゾンの曲と比較すると群を抜いてハッピーソングだということを一音目が鳴った瞬間から感じ取った。UNISON SQUARE GARDENの楽曲の中で「多幸感」を感じるものといえば「君の瞳に恋してない」や「kaleido proud fiesta」をわたしは挙げるのだが、この曲に関してはそれとは少し違う感触だった。先述したように、この曲のことはカタカナで「ハッピー」と表したい。わたし自身が最近、海外発のミュージカルを観たことも影響しているとは思うが「いけないfool logic」は外国のミュージカルを持ってきてそのまま曲に変換したような可憐さがあるように思う。ものすごく晴天の青空の下で、ロングスカートを靡かせ踊りながら聴きたい。この曲の面白いところはそれだけではない。2番Bメロの転調部分に関して、一聴しただけでは頭の中に「?」マークがずらりと並んだ。わたしはてっきり、ユニゾンのこれまでの傾向…例えば「春が来てぼくら」のように2番が始まった途端に曲調を変えてくると思い込んでいたので、こんなサプライズみたいなことが待っているとはつゆ知らず。本当にびっくりして、初めて聴いた際は「え?」と声が出てしまった。この曲は先述したようにアニメ主題歌としてリリースされたのだが、地上波で放映されるOP映像は基本的に90秒(1分30秒)と限られた時間だ。アニメサイズでは楽曲の2番が流れないことをいいことに、田淵さんはとにかく遊ぶ遊ぶ。full ver.だけのお楽しみを秘めている楽曲を作ってしまうUNISON SQUARE GARDENが、わたしは本当に大好きだ。

 

 わたしはUNISON SQUARE GARDENのドラマーの鈴木貴雄さんのオタクなので、やはり毎度注目してしまうのはそのドラムの音である。「いけないfool logic」を初めて耳に入れた時は、表題曲の割にはあまりドラムが目立っていないのでは?と感じたけれど、何度も繰り返し聴いているうちにそういったドラムの使い方をすることも時には大事で、正解なんだと思えるようになった。シングル曲では「Phantom Joke」や「カオスが極まる」にて彼のドラムがよく聴こえるのだが、この「いけないfool logic」では細かなアレンジを多数入れつつも、あくまで料理で言う“皿”のような役目を果たしている(彼が結成15周年記念の舞洲ライブで仰っていたこの例えが大好きなので言葉としてお借りした)。わたしは、おそらく貴雄さんが同期音を鳴らしてから演奏をスタートさせるのではと予想しているのだが、先述したように細かなアレンジに加え2番の転調部分の始まりでスティックを鳴らす場面や元のメロディーに戻る際のリズムの取り方の難易度がかなり高そうだと感じている。その辺りをどう表現していくのか、相当練習しないとひとつの音で全て狂ってしまう可能性を孕んでいる楽曲のように思う。観る側としてもその難易度の解剖がしたいので、ツアーの際は気合を入れて行こうと決めた。

 

 まだ公式YouTubeに出ていない機密事項なので語るのは少しだけにしておくが、MVでは3人がかなり遊んでいたので観ていてとても楽しい気持ちになる。楽曲の2番には、個人的に観てみたかった「3人が○○しているところ」という場面も入っていて大満足の内容だった。曲といいMVといい、アニメ放送スタートと共に公開されると更に注目度が高くなりそうだ。

 

 

あまりに写実的な

 「B面曲はCDを買った人だけが聴ける(≒サブスク解禁はしない)」というスタンスをユニゾンは取っているが、こんなにもファンが欲しているものを提供してくるとは思わなかった、というのが第一印象。UNISON SQUARE GARDENのことが好きで、ユニゾンのファンクラブに入っている物好きにぶっ刺さりそうな曲だと思った。わたしがそうだから。

 「あまりに写実的な」は、初めて聴いたはずなのに不思議と懐かしさを感じた。それは、今回ユニゾンの全楽曲で初めて作曲・編曲が「UNISON SQUARE GARDEN」という連名での作品だからか、これまでのユニゾンの良さが詰まっている仕上がりになっている風に感じている。

ぜんまい仕掛けのおもちゃを巻くかのような、耳に残るフレーズから始まる今楽曲。わたしはリリース時に公開されたナタリーのインタビューを読んでからこの楽曲を聴いたのだが、確かに貴雄さんが好きそうなイントロだな、という印象を受けた。全体的に「いけないfool logic」とは打って変わって、田淵智也の書く詞を聴かせるためのシンプルなドラム譜面だと思う。既存曲だと「センチメンタルピリオド」や「流星行路」を彷彿とさせるような、ユニゾンの初期の音に似ているようだった。

 

 ループして何回目かで歌詞カードを見ながら聴いていたら詞が沁みたのかちょっと泣きそうになってしまったのだけど、その理由を考えながら聴いていたら分かった。この曲は「101回目のプロローグ」に似ているのだと。自分の人生なのに、自分が選んだ道なのにも関わらず人生に押し潰されそうになった時に丁度、アルバム「Patrick Vegee」を引っ提げたツアーが始まって、自分の勇気だけを持って遊びに行ったのだ。晴れた神戸公演も、土砂降りの京都公演もわたしの救いになっていたことをこの「あまりに写実的な」を聴いて思い出した。そういった意味で、この曲は一聴しただけでもかなり好きな部類に入ってしまったのだった。かなり久しぶりに斎藤さんの歌わない、語りだけの場面があることにも驚いた。ライブでの披露時はどう演奏と合わせるのか、非常に楽しみにしている。

 

 UNISON SQUARE GARDENにしか似合わない、彼らにしかハマらない言葉はあると思っている。例えばこんな歌詞。

一つの願いが途絶えたくらいで

命が終わるかよ 甘えるな

あまりにも写実的なあれこれ

心はモノクロにしちゃダメだよ

「その手は差し出さない」「差し出された手は噛みちぎるけど」と奏でるUNISON SQUARE GARDENだが、今回の「あまりに写実的な」では辛辣な言葉を並べつつも、最終的にはリスナーが立ち上がるためのヒントを与えてくれている。そうして、“写実的”という言葉の意味を調べてみると、こんな解説が載っている。

〘形動〙 事実をありのままうつし出そうとする傾向のあるさま。リアリスティック。

(写実的-コトバンクより)

要約すると「自分の心にあまりリアリティ(現実)を映し出すな」という意味だろうか、わたしはそう解釈した。だから、「あまりに写実的な」はわたしの救い。救いと言うには烏滸がましすぎるな、勝手に救われたい。

 

 これは本当に個人的な想像でしかないが、この「あまりに写実的な」はもしかしたら貴雄さんの曲かもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただ彼はある時「世の中に絶望しながら生きている」と語っていたことがあるから聴きながら絶妙なラインなのかもと勝手に想像しつつも、曲中には何となく彼のカラーがあるような気がする。

あまりにも写実的なプロビデンス

振られた賽の目が幸せなはずないか

自暴自棄じゃ味気ない

とすれば事の次第は 何を選ぶかで

決まってしまうよね

じゃあ世界は平穏です

平穏です

例えそうじゃなかったとしても、この曲を携えて今後活動していくUNISON SQUARE GARDENは、もう敵なしだと思っている。寄り添いつつも、近くなりすぎない距離感の塩梅具合が流石なのだ。

 

「いけないfool logic」「あまりに写実的な」を携えて、アルバム「Ninth Peel」の2周目となるツアーが始まる。年が明けるとUNISON SQUARE GARDENの結成20周年イヤーもスタートする。どんな計画が始まるのだろうか、そのことをを想像するだけで身体が震えてしまう。行き着いた先には、何があるのだろうか。UNISON SQUARE GARDENの結成20周年のその先へ、わたしは彼らとともに向かう。