音旅

文章の世界の住人。主に音楽のお話。

音旅的 今月の5曲-2023年1月編

 去年はあまりブログを更新できていなかったので今年は定期的に更新したい(1年の半分くらいはフォロワーの企画にかこつけて文章を書いていた気がするけどいま見てみたらそんなことは無かった、けど月に一回も書いていないのは流石に危機感を感じている)。というわけで音楽記事として続けられそうな「今月の5曲」というプロジェクトを立ち上げることにした。その月の末もしくは次の月の初旬までに「この曲は好きでよく聴いた」「何故だか頭に残っている」等の楽曲を5曲、月によってはもう少し増えるくらい数を挙げて記録していくというもの。対象楽曲は以下の通り。

  • 月内に正式リリースor先行リリースされた楽曲
  • MVのfull ver.が公開されていて公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの

というわけで、2023年1月編 私的5曲はこちら。

かすかでたしか/DIALOGUE+

 3月に発売するシングルから表題曲の先行配信、声優アーティストグループDIALOGUE+(ダイアローグ)の新曲。

DIALOGUE+は、UNISON SQUARE GARDEN田淵智也さんがプロデュースしているグループなのでそりゃもちろん毎回の楽曲が全部良い…DIALOGUE+のことを語る上で彼は100%外すことのできない存在である。彼は楽曲を作るだけではなく楽曲収録のディレクションにも携わっているので「ここのパートはこの子の声質に合う」と、聴いていてしっくりくるパート分けをされているそう(どこかのwebインタビューで読んだところによるとメンバー内でパートオーディションがあるらしい、ただの声優グループに留まらないレベルで気合の入れようが凄すぎる)。今回先行配信されたこの「かすかでたしか」は、アニメ「久保さんは僕(モブ)を許さない」のED主題歌となっていて最近のDIALOGUE+にぴったりな落ち着いた曲調…と思いきや、サビに向かうにつれて盛り上がるように作られている。段々と重なりをもたせる歌声が、まるで合唱曲のようで美しい。前作「デネブとスピカ」に比べると更にキーが高い部分があり併せて難易度も跳ね上がっているが、女性声優にこれを歌わせる田淵智也のセンスが良すぎる。特にサビ終わりの緒方佑奈さんのソロパート“季節の速さに沿って”が綺麗すぎて、初めて聴いた時は声優の底力をひしひしと感じさせられた。

また、田淵智也が三拍子の楽曲を作るのは割と珍しいことなので初めて聴いた時は結構驚いた。ユニゾンだと基本的な四拍子から変えることはほとんどしないのに(する時はするがそこまで分かりやすくはないかなといった印象)、ここで音楽プロデューサーとしての手腕を爆発させていてとても良い。才能の使い方を自らのバンドとプロデュースグループとで変えていることも彼の好きなところである。

 

乙女の心臓/METAMUSE

 わたしの推しアイドルグループ①METAMUSE(メタミューズ)を今回は選曲させて頂く。

※余談にはなるが推しグループ②はMETAMUSEと同事務所に所属するMAPA(マッパ)というグループ。MAPAの新曲MVは1月に出ているものの、2月に入ってすぐその曲が収録されたシングルをリリースするのでそこで纏めて書くこととする。

上記楽曲は1月25日リリース。この日は好きなアーティストのリリースが多かったので情緒が大変だった…このあと紹介する2曲も同日リリースの楽曲なので、この日だけめちゃくちゃ曲運みたいなものがあったのかな?と考えてしまう程である(アーティストの新曲リリースは大抵水曜日のイメージだからそのことも相まったのかもしれない)。

この曲はワンマンライブやフェス出演の際に披露はされていたものの、CD音源がなく聴き返すことができなかった。オタクは音源が大好きなのでリリースされて純粋にとても嬉しい。

METAMUSEは以前までZOC(ゾック)という名で活動していたのでもしかしたらそちらの名前の方が聞き馴染みがあるかもしれない。去年7月に改名を行い、現在はMETAMUSEとして活躍している。今楽曲は、彼女たちがMETAMUSEとなってから2枚目のシングルである「メタメメント」に収録されている。表題曲「メタメメント」は繊細な少女の心を綴りながらも独特の世界観を持ち、ヒステリックさと怖さがある楽曲となっているがこの「乙女の心臓」は女の子そのものだったりリスナーに勇気を与えてくれたり、ただ可愛いだけではないアイドル像を打ち立てるような楽曲となっている。METAMUSEとしてリリースされた1枚目のシングル「tiffany tiffany」はバラード風の楽曲にアイドルらしくもあり強い女の子ともとれる歌詞を乗せた、まるでMETAMUSEの船出を象徴するような楽曲だったが、この「乙女の心臓」はMETAMUSEという大きな船で出発した彼女たちの主題歌として解釈できるとわたしは考えている。

この世界はみ出す 乙女の心臓

ひとりぼっち トキメキ 届きたい

この世界どうしてもやるせないよ

ひとりぼっち楽でも 話さなきゃ

この世界何億人暮らそうとも

ひとりぼっちのきみを抱きしめる

この歌で

好きな部分が多すぎて曲終盤をがっつり引用させて頂いた。聴いているリスナーに寄り添って勇気をくれるような詞でもあるが、まずは歌い手である彼女たちが現実を見るところがスタートラインとなっているのがMETAMUSEらしくて大好き。見ている風景や場所が違っていたとしても一緒に歩んでいるような感覚になるのだ。

METAMUSEは6人とアイドルグループとしてはメンバー数がそれなりに多めなのにも関わらず、それぞれのメンバーのソロパートが多いことも特徴的(オタクとしてはソロパートでペンライトを振りやすくて助かる!)。毎回「この歌詞の意味を伝えるのはこの子」というのがぴったりとハマっていて、メンバーのことを知れば知るほどそれが理解できるようになるのが楽しい。“当たり前に年をとったね “夢”は“やることリスト”に変わった”という詞を最年長である大森靖子さんが歌ったり、“当たりキツい日にも理由が あると知ってる 女の子だもん”という詞を元ハロプロ所属アイドルでアイドル歴がもうすぐ20年になる巫(かんなぎ)まろさんが歌ったりと、彼女たちは自分たちのやりたいことを真っ直ぐに表現しているのだ。今年は運良く既に2回もこのグループのライブを体感できたけれどもっと増やしていきたいし、わたしの中でも大切な存在にグレードアップできればいいなと思っているアイドルのひとつだ。

 

赤ずきん/水曜日のカンパネラ

 今までの水カン楽曲の中で一番好き!

曲としては「エジソン」が去年から今年にかけて飛ぶように流行っているけれど、ボーカルの子のことはまだまだ知名度としては足りないなと感じている今日この頃。前任コムアイさんから主演・歌唱を2代目に移し、現在は詩羽(うたは)ちゃんが水曜日のカンパネラの世界観を作り上げている。ちなみにこの間まで高校生だったらしい(確か今年で22才くらいだったと思う)。初めて知った時は若さに驚きすぎてひっくり返りそうになったな…。

詩羽ちゃんの声はCD音源を聴いてみると少し大人びたクールな印象を受けるのだけど、ライブで観ると本当にずっとニコニコ顔できらきら~な雰囲気を振りまいている。超元気なピンク色の長髪ギャルを想像して頂ければそれがそのまま詩羽ちゃんの見た目である。まさに令和のポップアイコンに相応しい女の子。そんな女の子が歌うテーマは「赤ずきん」。この曲の主人公はただの赤ずきんではなくて、ラップが得意でギャル要素も含んだ強めの少女、といったところだろうか(ここまで書いて気づいたけど可愛くて強い女好きだなわたし…)。

ここまで書いといて何なんだというツッコミをされそうではあるが、ネタバレ厳禁のストーリーに仕上がっているので是非一度聴いてみて欲しい。1つ言えるのは、2番Aメロ辺りにある、“童謡の中で動揺したね”という歌詞が個人的にめちゃくちゃ好き。最高。

 

 

スパークルダンサー/フレデリック

 わたしはフレデリックが新曲を出す度に飽きるくらいリピートしてしまう人間なんだけど、今回も例に漏れずといったところ。正直「ジャンキー」が出た時はフレデリックが本気すぎてこれ以上のものは出てこないと思って完全に油断していた。それをいとも容易く超えていくところが彼ららしい。

人生で初めて行った対バンのライブが昨年2022年4月に大阪で開催されたフレデリック×go!go!vanillas(しかも最前列ド真ん中という嘘のような本当の席)で、その時にフレデリックを生で初めて観た。最前列だったということもあってVo.&Gt.三原健司さん並びにメンバーの皆さんの隅々まで見させて頂き、ひたすらに楽しくて満足した日だった。それを具体的な意味として回収できたのがその年の末に参戦したフレデリックのワンマンライブ。この時も整理番号が確か2桁だったか、5列目くらいの位置で観ることになったのだがこの日は三原健司さんの熱にあてられた、という表現が一番近いかもしれない。色気があって、見てはいけないものを見てしまったかのような…飄々とした不思議さがあった。その2公演のライブで感じたことがギュッと詰め込まれているのが、この「スパークルダンサー」という楽曲だとわたしは思っている(曲に対する前説が想定より長くなってしまったのはご愛嬌ということで)。

色気を兼ね備えつつ、かっこよさを全面に押し出している三原健司さんの歌声は昨年よりも絶対にパワーアップしていると思う。加えて、個人的に注目したいのはドラムの高橋武さん。高橋さんのドラムは居るだけで曲を進行させていくような魅力があると思っているのだが、「スパークルダンサー」でそれが存分に発揮されていると感じた。わたしはドラムに詳しいわけではないので抽象的な表現にはなるが『楽しい!』という感情を爆発させているような音だと思う。「ジャンキー」の時の音も好きで何度も繰り返し聴いた結果、リズム譜面が気になって他の方が叩いている動画をYouTubeに探しに行ったりしていたが、「スパークルダンサー」もそうなりそう。フレデリックのライブは今のところ手持ちの予定に無いので、早く生の音源を浴びてみたい。

 

Numbless like a ginger/UNISON SQUARE GARDEN

 結局どこを通ってもUNISON SQUARE GARDENには勝てない!本当に実家より実家。わたし自身が最も多幸感を得られる人たち。大好き。

この曲についてはアルバムが発売された時にしっかりとした文を紡ぐと思うので、今回はあっさりと纏めておく。

UNISON SQUARE GARDENの作る楽曲は「バンドががっつりと背中を押してくれる」というものが良い意味で感じづらく、言わばバンド界のツンデレの部類に入りそうだとわたしは思う。でもそのツンデレ加減は、リスナー側からすると勝手に救われる材料となる。“叶わない夢があっても 明けない夜があっても いつかのどこかで答え合わせしようね”という詞を斎藤宏介さんに歌わせようと決めた田淵智也さんが斎藤さんのことを分かりすぎていて、ユニゾンのそういう関係性が好きなんだよなと改めて認識させられる。鈴木貴雄さんのドラムは『鳴りを潜めている』といった具合で、彼の音の良いところを激しさではなく静かさに込めているような気がしている。最近はドラムだけではなくトレーニングもしているそうなのでその成果が表れているのだと思う。アルバムの期待度が更に上がった1曲だ。

余談にはなるがユニゾンのライブが無いと他のライブに対するモチベーションごとどこかに行ってしまっているので、早急に彼らのライブが欲しい。もはやワンマンじゃなくても、音楽フェスへの出演でいいから関西に来てほしい。

今はUNISON SQUARE GARDENのライブの余韻は賞味期限があるとようやく知ることになった期間だと思う。わたしはユニゾンきっかけで知ったアーティストやバンドがほとんどなので、ユニゾンの気力の余韻で他のライブに行っているところがある(語弊が無いように書いておくともちろん好きでユニゾン以外のライブに足繁く通っているのだけどあくまでユニゾンがあっての他のアーティスト、というわたしの中での立ち位置みたいなものがある)。UNISON SQUARE GARDENに会いたいなと思う、年の始まりとなった。

 

以上、2023年1月編でした。2月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。