音旅

文章の世界の住人。主に音楽のお話。

ヒトリエを好きになってしまった―ベストアルバム「4」発売に寄せて

 2020年4月5日、フォロワーのおかげで好きになってしまったバンドがある。名を、ヒトリエという。

 

 名だけはフォロワーを通じて知っていたし、わたしが常々愛しているユニゾンとの対バンが決まったことで急激に意識するようになった。そして、この日はヒトリエのボーカルであるwowakaさんの命日でもある。わたしはボーカロイド界隈に詳しかったわけではないし(中学生の頃に少し聴いてはいたもののかじるくらいしか聴いていなかった)、そもそも去年のこの日はツイッター始めていなかった。だから、世界中がどんなショックに沈んだのかを知らない。今年初めて、彼の1周忌だと聞いて急いでヒトリエのことを調べた。楽曲も何回も何回も繰り返し、脳に染み込ませるように聴いた。

 

 

 単純な言葉では括ってはいけないバンドだと思った。

 これまでいろんなバンドの楽曲を聴いてきたが、そのどれとも違う感覚。個人的に好きなバンドと比較してみるとすれば、UNISON SQUARE GARDENはじわじわ好きになるタイプ、キュウソネコカミは鈍器で殴られるタイプ、そしてヒトリエはナイフでシャリっと心臓を刺してくるタイプだと感じた。良い意味で異質なのだ。凄いバンドに出会ってしまった。

 今日は、好きになってまだまだ日は浅いけれど彼らの話。彼らに関しては知らないことの方が多いから少しだけね。また今度、たくさんんの知識を蓄えてから長文を書こうと思っているよ

 

 

 

 スペースシャワーTVで放送されていたヒトリエの特番で初めて観たMVがこの「センスレス・ワンダー」。高音で緻密に組み込まれた旋律、一聴では理解できないけれど知ると心に刺さる歌詞、加えて演奏技術も高い。一瞬にして心を掴まれた。なんかすげぇボーカルがいる、この人がwowakaさんか……とただただ圧倒された(初めて観た時に「怖……」とか思ってしまってごめんなさい)。

 現実逃避Pこと、wowakaさん。「裏表ラバーズ」「ローリンガール」が有名曲として名が高いが、わたしが中学生の頃に出会ったのはこの曲だった。

 

 

 「アンハッピーリフレイン」。父がツタヤで借りてきてくれたボーカロイドのアルバムに、たまたま収録されていた1曲だった。ここでwowakaさんの音楽に触れていたことは、2020年になって初めて知ることになる。

 電子音が曲が進行する度に積み重なる、まさに「ボカロ」という曲。アルバムの他の曲も聴いたけど、この「アンハッピーリフレイン」は、わたしの中で飛び抜けて異才を放っていた。その当時の直感で何回も何回もリピっていたんだけど、あの時のわたしは正解だったんだな、と今となっては思う。

 

 

 ヒトリエの動画を探す中でも、wowakaさんの追悼ライブを観て胸が締め付けられる思いになった。ボーカルは、それまでギターのみの担当だったシノダさんが兼任している。

 

 

 どんな言葉を並べても追いつかない熱気とヒトリエの音。わたしはこれを観た瞬間に動けなくなり、何も発することができなかった。悲しい気持ちになってしまったけれど、4人から3人へ。ヒトリエが凄いバンドなのは変わらない。

 

 

 

 今日は、彼らのベストアルバム「4」の発売日。

 『4人だから「4」。簡単でしょ』というシノダさんの言葉がわたしに強い印象を与えた。わたしは彼らの軌跡となった音楽をまだまだ知らない。だから、閉じ込められた音源へと旅に出る。胸を張って「大好きなバンドです」と言えるように。

 

 これまでの彼ら、これからの彼らを追いかけていきたいと思う。

 ベストアルバムの発売、おめでとうございます。