音旅

文章の世界の住人。主に音楽のお話。

音旅的 今月の5曲-2023年2月編

今月もやってきました。

  • 月内に正式リリースor先行リリースされた楽曲
  • MVのfull ver.が公開されていて公式的な手段で楽曲の全体が聴けるもの

上記のどちらかの条件が当てはまるもので、月内に気に入った楽曲を紹介していくシリーズ記事となっております。先月分(2023年1月編)はこちらからご覧ください。

それでは本題、今月の5曲はこちら。ロック調や気持ち強めの楽曲が多めになったので、好みが偏っていることが存分にお分かり頂けることと思う。

怪獣GIGA/MAPA

先月の記事にてちょこっとだけ記載させて頂いた、わたしの推しアイドル②ことMAPA(マッパ)。名称的にはアイドルと言いつつも、楽曲はきゃぴきゃぴアイドルとは程遠い。もちろん中には可愛い楽曲もいくつかあるが、今回の記事で紹介するのは力強く闇を歌った曲である。

この曲は 音源/MV/ライブ のそれぞれ3通りでかなり感じ方が変わる曲だと思うので、全てのリンクを貼らせて頂いた。良ければお好きなものからどうぞ。ちなみにライブ映像へのリンクは今年に入ってすぐ行われた最新ツアーのもの。興味があれば最新のMAPAを映像だけでも味わって頂きたい。音源よりライブの方が絶対に良いものが観れるという保証がある。

アイドルとは思えないほどの迫力と狂気と怖さ。全部纏めてMAPAというアイドルだし、それを全て完璧に表現できるのはMAPAしか居ないと感じる。MVを観た時にかなり衝撃を受けていたので、その時のツイートを貼り付けておく。

この感想がわたしの中で最も本質を突いている気がする。そこまでたくさんの言葉を使わずとも、一度映像を観て頂いた方がMAPAのことが瞬時に分かるとわたしは思っている。

先日わたしがMAPAのライブに参戦した時はご縁があって最前列に行くことができた。最前列で観る「怪獣GIGA」の迫力はアイドルとは思えないほどのパワーと怖さだったし、怪獣という名ではあるもののそれとは裏腹にある脆弱な女の子の心情も、等身大の彼女たちの姿を以て表していて大変に良かった。推す価値があるし、その価値以上に観客側に還元されるアイドルだと思う。「怪獣GIGA」は、届くべき人に届いてほしい1曲だ。

 

くそったれ人生最悪の/板歯目

バンド名は“ばんしもく”と読む。とある楽曲内で「バンド名が読めない!」と叫ぶパートがあることがゆにぞんと同じような…そう、UNISON SQUARE GARDENのドラマーである鈴木貴雄さんがこのバンドのライブに行っていたことをたまたまTwitterで知り、そこから転がるようにハマった。ちなみにの話、貴雄さんが聴いたり触れたりする音楽の傾向がインタビューやラジオから何となく分かってきたので推測上で「そりゃ板歯目好きだよね!」と思ったりした。その好み、とても分かります。

「くそったれ人生最悪の」は、メンバーの千乂(ちが)さんの体験談から曲が作られており、「人生最悪の出会いをしたけれどそれすらも感謝したい(※みたいな感じのニュアンス)」という想いが込められているそうだ。タイトルはぐんと強めの言葉が使われているが、千乂さんの歌声の強弱や演奏はそこまで強いものではなく、強さの内側に少し優しさのエッセンスを感じるような楽曲となっている。板歯目のこの塩梅が心地良い。

 

既にロッキンオンジャパンがインタビューをして目を付けているバンドなので、ブレイクすること間違い無しと言っても過言ではない。

板歯目は、UNISON SQUARE GARDENも出演した「LIVE HOLIC (通称 ライホリ)」というライブにて見事オーディションで勝ち抜き、未来あるフューチャーバンドとして大きな会場で持ち時間をたっぷりと使って演奏した。これがその時のセットリストである。

15分で5曲演奏するというパワフルさ。これでまだ全員19歳らしいというのが信じ難い。才能の塊のような新生バンド板歯目、これからの活動に期待しかない。

 

1P/ビレッジマンズストア

新生ビレッジマンズストアを代表する1曲だと思う。

水野ギイさんの歌声って1度聴いたら離れてくれないというか、今まで聴いたロックバンドの中でも特徴的な部類に入ると思っている。耳にこびりついて脳を直撃するような、けれど真っ直ぐなロックバンドことビレッジマンズストア。彼らの最新曲「1P」(多分読みは歌詞の通り「ワンプレイヤー」だと思う)はビレッジマンズストアの荒れ狂う音楽性はそのままに閉じ込めて、初めて彼らに触れる人でも分かりやすいように作られていると思う。水野ギイさんの歌声が荒いので(もちろん褒め言葉)演奏もそれに合わせて激しいものに仕上がっているものの、メンバー全員の演奏技術が高いのでごちゃついて聴こえないのが個人的に好きなポイント。何度聴いても良いと思える音楽に出会えて幸せだ。

去年10月に大阪で行われた、バンドばかりが集まる小さなフェスにヒトリエ目当てに出掛けたんだけど、ヒトリエの後に出演したビレッジマンズストアのパフォーマンスが良すぎてそこからかなりハマることとなった。ビレッジマンズストアのことはこのフェスの前から知っていて少しずつ楽曲を聴いていたりしていたが、本当に好きになったのはこの公演がきっかけ。

こちらは3月に初めてワンマンツアーに参戦するので、自分たちだけのステージでぶっ飛ばしていくビレッジマンズストアをとても楽しみにしている。

 

回春/女王蜂

あまりにも好き。MVが欲しすぎる…

2月初旬にリリースされた女王蜂のアルバム「十二次元」より1曲。このアルバムの楽曲たちはわたしの好みに刺さりすぎて選ぶのに一苦労したのだが、女王蜂の楽曲の中では「売春」がかなり好きなので続編となる「回春」を選曲させて頂いた。

お聴き頂くと「売春」「回春」ともに、アヴちゃんが一人二役を演じながら歌っていることが分かる(ライブだと音の重なりの関係上で若干ツインボーカルっぽい場面があるが、音源は本当にアヴちゃんが1人で歌唱している)。演じる性別によって全く声が違うので、初めて聴いた時は信じられなくて驚くことしか出来なかった。ここまで徹底して声を変えて歌う歌手は多くないはずだから、アヴちゃんの本気度と凄さが伺える。

内容としては男女の物語を「売春」の続きとして描いているのだが、ただ描くだけではなく「回春」の終盤に「売春」のイントロの音がサンプリングされていて鳥肌が立った。だから“回る春”なんだと納得させられた。わたしが女王蜂の好きなところを挙げるとしたら、きっとこういうところだと思う。女王蜂の楽曲の細やかな作り、世界観の良さをこれからも追いかけたい。

また、先日有り難いことに女王蜂のツアーに参戦させて頂いたので女王蜂という存在が凄く身近になった気がする。これまではほとんど配信ライブや映像の中だけの存在だったから「こんな凄いバンドって本当に存在しているんか…?」と半信半疑だったのだが(昨年女王蜂主催の対バンツアーに行ったもののステージと席が割と遠めだったのであまり実感がなかった)、ワンマンライブを浴びたことによってその存在をようやく信じることができた。この公演は「MYSTERIOUS」のシングルツアーという関係上、アルバム「十二次元」に収録された曲はほとんど披露しておらず、もしかすると別でツアーが開催されるのでは?と勝手に予測している。「売春」は生で観たことがあるので、いつか「回春」とセットで披露してくれることを願っている。

 

銀河の果てに連れ去って!/フレデリック

フレデリックっていつも天才なんだよな…と実感させられた1曲。先月の記事でもフレデリックから選曲させて頂いたが、今月も変わらずといったところだ。先日リリースされた「優游涵泳回遊録(ゆうゆうかんえいかいゆうろく)」より最後から2つ目の位置にある今楽曲は、どこか懐かしさを感じるポップテイストにフレデリックらしさを足した、聴いたことがあるようでない形に仕上がっている。

ぐわんぐわんとした音、まるでトンネルをくぐり抜けた先にわくわくが待っているような…全体に散りばめられたサンプリングの音が宇宙を表しているようで美しい。「片道だけの特急券 つまりそういう事ですわ」「かったりーとこ抜け出して 僕と一緒に踊りませんか?」という歌詞が、とんでもなくフレデリズム。踊るところがフレデリックらしくて好き。3分間を何度でも味わいたくなる世界観で、天才的な音楽だと思う。フレデリックをもっと知っていきたいと思わざるを得ない。

 

以上、2023年2月編でした。3月も良い曲との出逢いがたくさんありますように。