音旅

文章の世界の住人。主に音楽のお話。

頑張れと言わないバンドの話

「頑張れ」と言わないバンドがいる。



彼らの名は、UNISON SQUARE GARDENという。





前説、
正しく言うと「背中は押してくれるけれど、決して頑張れとは言わない」バンドである。


これまでに彼らが出した曲は約130曲。
だが、そこに「頑張れ」という言葉が含まれた曲は1つもない。なんなら「頑張れ」の「が」の字すらもない。




UNISON SQUARE GARDENというバンドの曲を
人生の大事な時に聴く意味、
そして、どうしてこんなにも励まされるのか?
今回はそんなお話。




ここで1つ、例をあげるとするならば、
Invisible Sensation』の1節。



“願えばきっと叶うなら 苦労なんて辞書にはないだろうね”

“努力だけじゃ未来は保てない”



ある日、このフレーズがFM802で流れてきた時、私は体中に電気が走るほどの衝撃を受けた。


この曲は応援ソングといわれる曲だが、やはり「頑張れ」とは言わないのである。


彼らはこの曲で真っ直ぐに現実を見、そして未来への希望や展望を奏でているのだ。



そういえば昔、
既に頑張っている人に「頑張れ」と言ってしまうと、かえって逆効果だと聞いたことがある。


彼らがそこまで考えたのかは不明だが、『Invisible Sensation』は、そんな、「頑張れ」と言ってほしくない、でも励まされたいと思う人にフィットするんじゃないかと個人的には思っている。

余計な言葉なんかなくても、人は励まされるものなのだ。




もう1つ例をあげるとするならば、
リニアブルーを聴きながら』の1節。


“諦めちゃったら届かない”

“ちょっとやそっとの逆境に倒れるのはもったいない だって本気なんだから 理由はそれだけで”


「諦めるな」ではなく「諦めちゃったら届かない」というフレーズにしたこと。

「倒れたらダメ」ではなく「倒れるのはもったいない」というフレーズにしたこと。


この2つから彼らの考え方がうかがえる。



いつも彼らから受けとるメッセージは、
「僕らはあくまで『他人』」
「決めるのは自分自身」。


まさにそうなのだ。
Invisible Sensation』にしても『リニアブルーを聴きながら』にしても、最終的に決めるのは自分だよ。で、君(あなた)はどうするの?と言われている気分になる。




少し突き放した距離から君へ、大事なことを教えてあげよう。


それが彼らの音楽であり、信念なんだと思う。
ここが、他のバンドとは一線を画して違うところである。




イヤホンをつけて耳に流し込む彼らの音楽は、いつだって光輝いているし、忘れかけていた大切なことを教えてくれる。


私にとって彼らは世界の中心であるが、彼らは少し遠いところから音を鳴らしている。
その音は木霊し、心を揺さぶり、いつか私のもとへ届く。


頑張れって言わなくても、正しくなくても。

私は彼らの音楽たちに背中を押され、今日も生かされている。


ロックバンドは素晴らしい。
UNISON SQUARE GARDENは言葉の魔法使いだ。


私の持ち合わせる言葉では表現しきれないので、ぜひ彼らの曲を聴いてほしい。
スタートはどこからでも大丈夫だ。
(王道の『シュガーソングとビターステップ』からだと入りやすいかと思う)


(ちなみにこの記事は、Twitterのフォロワーさんに「ブログ書いてほしい」と言われ、途中まで書いていた文章を深夜に急いで仕上げた、言い方を変えれば調子に乗った記事なので色々と許してほしい。最後まで書いて気がつけば日を越すという失態をやらかした。寝ることにする。)



2019,12,12